yahooニュースの見出しに
某政治家が、ゼロ歳児に選挙権を与えよと
主張している、と、載っていたのが昨日のこと
あまりのバカバカしさに
これは、閲覧数を稼ぐための
メチャクチャな見出しに違いないと思い
記事も読まずにそのまま忘れていたのだが
今日、職場で話題になっていた
何と、本気で言っていたのかと
驚くより前に、ドン引きに引いた
比きながらも、好奇心で
ニュースを読んでみたところ
若年層の意見を取り入れる政治にするには
子供に選挙権を与えて
子供が成人するまで、親が代行すればよい
子供一人につき、一票
その政治家は、僕は子供が三人だから、四票
と、あきれたことをほざいていた
突っ込みどころが多すぎて
どこから突っ込んでいいか、よくわからないのだが
まず、結婚している場合
親権は親の両方にある
子供の票を代行して投票するとして
両親が誰に投票したいか
意見が違ったら、どうするのか
そもそも、たとえ夫婦であっても
「誰に投票するか」は言う必要はないという
「選挙の秘密」という原則もあったと
高校の頃の公民で習った記憶がある
選挙の原則を破らなくては運営できない制度など
作る前から、欠陥制度なのがわかり切っているのだから
とっととやめた方がいい
それに、子供の票を親が代行で投票するなら
夫婦二人の分の票になるはずだ
夫が一人で勝手に、子供の票を全取りして
僕は四票、とは
母親の、親としての立場や権利を
をないがしろにするにもほどがある
ここまで男尊女卑を見せつけられると
母親を親と認めない
家父長制にもどしたいのではないかと
邪推したくもなってくる
それに
若年層に、政治がもっと
目を向けるようにしたいなら
話はとても単純だ
子育て中の家庭が、日本中全員
選挙に行くようにすれば良いだけの
話ではないか
若者の投票率の低さは
どんな選挙でも必ずといっていいほど話題にされている
若年層があと3割投票に行けば
流れが変わる可能性はあると思う
投票権を考える前に
まず、投票率をあげる方法を考えればよいのに、と思う
それに、
子供のいる人は、子供の数だけ
投票権を増やしてあげましょう、という発想が
私には、なんとも気持ちが悪い
私の祖母は、勲章を持っていた
祖母はそれが自慢だった
だが、ある時、何をしてもらった勲章なのかを聞いてから
今でいう、トラウマ、というやつなのだろう
私は、その勲章だけではなく
勲章そのものが、大嫌いになった
その勲章は、女が子供を10人以上産むと
「よく生みました」と国が頭をなでてくれる
そういう勲章だった
祖母には、大変に失礼なのは良くわかっている
ひどいことを言っているのもわかっている
だが、わかっていて、言わせてもらいたい
その話を聞いた、子供の頃の私は
ニワトリに卵を強制的に産ませる
ブロイラーが思い浮かんだ
その時、とっさに頭に浮かんだ
「人間ブロイラー」という言葉は
半世紀近くたった今でも、頭の中から消えきってはいない
このセロ才児選挙権の話は
どうしても、その人間ブロイラーを思い出させるのだ
それに
子供のいる人だけ、選挙権が四倍、五倍になる
選挙権欲しさに子供を作る人は
いないだろうとは思うが
これは、シングルの人や
不妊治療をしても子供のできなかった人との間に
大きな分断を作るだろうと思う
特に、つらい不妊治療をして
とうとう子供のできなかった人達に対して
思いやりのかけらすらない
なんと無神経な、というのが
正直な感想だ
まあ、当然だろう
おひとり様で、働き続けている人にしてみれば
子育てで休んでいる間の、その人の年金分まで
自分たちが払ってやっているようなものだ
今でさえ、子供の体調のためにやむなくであっても
急に仕事を休んだり、保育所にお迎えに行くために
早退したりする人たちに対して
皮肉交じりに
「子持ち様」という言葉があるくらいだ
選挙権、という目に見える形で差別をするなど
決して、良い方向には向くまい
それに、これは大変に素朴な疑問なのだが
確か、日本国憲法で
平等権、というのが定められていなかっただろうか?
選挙権という基本的人権を
子供の有無という、選挙とは全く関係のない事実で
他人の何倍も増やしてしまう、というのは
平等権に反するのではないだろうか?
その政治家は、ゼロ歳児選挙権を
党のマニフェストにも入れたい、と言っているようだが
よっぽど、シングルが嫌いなのだろうか?
丁度、あと二日で選挙の投票日だ
日本中のおひとり様を敵にまわすようなまねなど
やめた方が利口だと思えるのだが
まとめて一言
これ、月遅れのエイプリルフールですよね?