私の住んでいる関東地方では
台風が来る、というので
15日はその準備にドタバタで
私もスーパーに買い出しに行ってきた
一人暮らしなので、買い物の分量も少ない
ひき肉、豆腐、ヨーグルト、シリアル
生野菜はまだ、冷蔵庫にあるから
このくらいで良いだろう
ただ、季節がらスイカと
ガリガリ君は食べたい、と思い
果物の売り場に行くと
ばったりと、知人に出会った
友人というほど、仲が良くない
というよりも、友人になるほど
気が合わない、という方が正確だろう
フィーリングがズレるので
いつも、愛想よく挨拶をかわし
天気の話題を二言、三言
それで愛想よく、お別れするのだが
今日は、知人は数人の幼児を引き連れていた
一目でわかる、典型的な
「孫の帰省」だった
孫たちに取り巻かれ、一番大きなスイカを選んでいた
いつものように挨拶をして
お孫さんとご一緒ですか、楽しいですね、と
一言付け加えたのが、運のツキだった
息子さんは、御一緒ではないんですか、と聞かれた
……見ればわかるだろう、一人だ、と
言いたいことは言いたかったのだが
近所に住んでいる人だ
くだらないトラブルは、避ける方が良いに決まっている……
適当に、うちは息子なので、というと
うちは息子も娘も帰省していますよ、と
びっくりしたように返事をされた
悪い人ではないのだ
本当に、息子が帰省しないのを
驚くべきことだと思って
純粋に、びっくりしている
マウントをとろう、だの
自分は子供に大切にされている、と
自慢をしようと思っているわけでも無いのは
非常に良くわかる
だが、あまりにも感覚が違いすぎて
話をしていて、疲れるときがある
今が、まさにそうだ
お気の毒ですねぇ、台風も来るのに
心細いでしょう、と言われた
ううむ、正直
心細いようだったら、一人暮らしなどせずに
施設か、シェアハウスを探している
私は、好きな時に好きなことをできるゼイタクを
ココロから愛しており
その自由の代償として
「人に頼れない」という不自由があるのなら
喜んで不自由を引き受けたい、と思うタイプだ
それに、息子はもう結婚し、子供もいる
一番に気を使うべきは
奥方と、子供だろう
早い話が、「私のもの」ではないのだ
地震が来ようと、台風が来ようと
息子が一番に守らなくてはいけないのは
息子の家族であり
決して、私ではない
息子がいようといまいと、自分の身は自分で守るしかない
なので、帰省しようとしまいと、何の変りもないと
思うのだが
どうも、世間はそうは見ないらしい、というのが
少しずつ、わかってきた
とはいえ
せっかく役職定年になり
職場でも人の目を気にしなくて済むようになり
思いっきり、羽根を伸ばしているところだ
家庭に帰ってきてからも
他人の目を気にする必要も無かろう
私個人としては、この夏の過ごし方は
非常に気に入っている
9月の試験に向けて
とりあえずは、全力で問題集を周回
同時並行で過去問をつぶす
勉強場所は図書館、たまにドトール
まだ合格圏までは少し距離があるが
周回するごとに、×だった問題が〇担っていく
この手ごたえが、非常に楽しい
あまり話も弾まない息子と
顔を突き合わせているより、ずっと充実していると
思ってはいるのだが
だが、私の思いとは裏腹に
「哀れな独居老人」と思われているのなら
せめて、その認識だけでも改めてもらわねばなるまい
それには
やはり、外見からはいるのが
一番、手っ取り早いのではないだろうか
姿勢を正しく、歩き方は軽やかに
身だしなみは、ブランド物である必要はないが
いつも、小ざっぱりとして
清潔なもの
コンビニや役所で窓口の人に
怒鳴ったり、絡んだりするような
あさましい真似はせず
いつも、上機嫌そうな微笑をたたえて
買い物や、バスを降りるときには
ありがとうの一言は欠かさない
髪はきっちりと整え
二ヵ月に一度はカットに行く
制汗剤は欠かさず
清潔さを保つ
こんな感じで、見るからに優雅に
暮らしてみるのはどうだろうか
割れながら、なかなかハードルは高いが
「お気の毒な方」と思われるのも
片腹痛いというものだ
シニアモデルにでもなったつもりで
いざ、スタートだ