2024年8月4日日曜日

徹底解説・新NISAで老後資金は正しいのか?

 昨日、「やっぱり危なかった新NISA」

という記事を書いたら

かなり多くの数の質問をいただいたので

お答えを兼ねて、新NISAについて

ちょっと、解説のようなものを書こうかと思った


NISAは新・旧どちらも

ファイナンシャルプランナー試験の重要な出題範囲で

現在、なんとか1級の学科試験を突破し

実技試験に向けて、悪戦苦闘している身としては

マネー雑誌プラスアルファくらいの知識は

あるのではないかと、うぬぼれている

少なくとも、間違ったことは書いていないだろうと思う


新NISAというのは

証券会社に『新NISA口座』を作り

その口座内で

株の売買をすれば

株で利益をあげたとしても

税金を免除してあげます、という制度にすぎない

なので、「NISA」という商品があるわけではない

あくまでも、株の売買だ

なので、新NISAをやっている、というより

「株をやっている

 税金は、新NISA制度で、節税をしている」というのが

正しい言い方だ


なのに、なぜそう言わないかというと

ここから先は、私の推測だが

「株をやりなさい」というと

「危険ではないか」というリアクションが

必ず起きるからだと思う

少なくとも、私の世代では

株価が狂乱状態で値上がりし

一夜のうちに暴落した

あの、バブル崩壊で

ひと財産をなくしてしまった人が

決して少なくないと思う

その人たちに、もう一度株をやらせるには

「株」という言葉を

カッコいいけれど、よくわからない横文字に置き換える

イメージ戦略が必要だったのだと思う


税金は、かなり安くなる

通常は、株のもうけに20。42%の

税金がかかってくる

これが、新NISAでは、ゼロになる


だが、うまい話には、必ず裏がある

新NISAもそうだ

通常の株の売買なら

株で損をした場合、ほかの税金をオマケしてもらえる

だが、新NISAを使っている人は

税金のオマケが、全くない

びた一文安くならないのだ

例えば

給料を年収350万もらっている人が

毎年、税金を30万収めているとする

仮に、新NISAで買った株が100万暴落し

赤字を出したとしても

この30万の税額は、びた一文安くならない

350万の年収で、株で100万損を出せば

実際は、250万で暮らさなくてはいけない

それだけでも、悲惨だというのに

250万の生活費の中から、30万の税金を払うことになる

これは、かなり苦しい


さらに

新NISAの中には、単なる株の売買部門に加えて

積み立て専門の部門もある

「積み立て投資枠」と呼ばれているものがそれだ

ここでは、株そのものを買うことはできない

ここで買えるのは、投資信託

つまり

要は、業者が株や債券を組み合わせて

アソートにした商品を

買いためていく、という部門だ

これは、果物を買う時を想像してもらえると

近いイメージができると思う

イチゴならイチゴだけを買いたい、というのが

株を買う時のパターン

果物屋さんがすでに

フルーツバスケットを作っていて

そのバスケットを買う、というのが

投資信託のパターンだ

その中の一種類、例えば、果物かごの中の

オレンジが気に入らない、パパイヤに変えてくれと

言っても、できないように

投資信託の中身を買えることはできない

全く別の投資信託を買うか、やめるかのどちらかだ


投資信託、つまり、株、定期貯金、債券などの

アソートパックでも

株が入っているものがほとんどだ

株が暴落すれば、投資信託も元本割れをする

確率が非常に高くなる


株の入っていないアソートパックを選ぶこともできる

だが、それだと定期貯金がメインのパックになるので

どうしても、利率が低くなる


しかも、投資信託は

証券会社がアソートパックを組み

専門家が運営するので、手数料がかかる

定期貯金をメインにした

安全、安心な投資信託では

この、手数料分の利益が出ないことがある


つまり、預けた元本が減ってしまう可能性が

どうしても付きまとう


これを、年を重ねて判断力の鈍ってきた

高齢者がやるのは、やはり、どうかと思う

私個人の意見としては

投資は、生き馬の目を抜くタイプの人が

売る、買う、損きりをする、待つ、の

正確で素早い判断のできる年齢の時に

やるものではないかと思っている


もう一つ

老後資金の特徴は

「絶対に、失敗ができない」ということだ

それもそうだろう

入居している施設の、毎月の入居費を

株で溶かしてしまったら

その次の月から、住む場所が無くなる


NISAを含めて

株に限らず、投資一般は

この、「溶かしてしまう危険性」がついて回る

安全と言われている、国債や社債でも

溶ける危険性はゼロではない

……なので、その国や会社が

  どれだけ危ないかを格付けする

  「格付け会社」というのがあるわけだ

  「格付け」というと、現代では

  お正月に、ガクトがやっている

  芸能人の格付けの方が有名だが

  本来は、「この会社や国に投資して

  お金が戻ってくるだろうか」を

  判断するためのものだ……


話をもとに戻すと

絶対に溶かしてはいけない老後資金と

溶ける危険性がついて回る投資とは

究極に、相性が悪いように思う

どうしてもやりたいときは、スッてしまっても困らない

いわば「遊び金」以上を使うのは

大変に危険なことだと思う


少なくとも、私は老後資金は

新NISAを使う気は全くないし

ファイナンシャルプランナーとして一番、

尊敬もし、ファンでもある

森永先生(「ザイム真理教」の著者)や

荻野先生(ワイドショーのコメンテーターで

    よく出ている、女性の眼鏡の先生)

お二人とも、現在の株式状況は

ゆがめられているので、手出しはしないと言っておられる

私一人の、臆病風、というわけでもなさそうだ


投資は、政府が強く勧めていた

確か、投資イン岸田、のような

妙なキャッチフレーズまで作り

「一億総株主」

「貯蓄から投資へ」

「投資で所得倍増」などと

派手なスローガンを掲げていた

……それでいて、暴落したら

  「投資は自己責任ですよ」(笑)

   では、あまりにも冷たいのではないか、という

   気もしているのだが……

なので

胡散臭い、と思っていた

そもそも、現在、政府が「高齢者の問題点」

として、指摘しているのが

「高齢者は貯金をため込んで、使わない」ことだ

60代以降の貯金額が巨額になっていて

散財をしないため、経済が回っていない、というのが

その言い分なのだが


私に言わせれば

老後には3000万円なくては破綻する、と

言っていたのは政府ではないか

年をとってからの貧困はつらいので

生活防衛のための資金を確保しているだけなのに

一体何を言っているのだ、と思うのだが


この先は、私の邪推だ

政府としては、高齢者の貯金を使わせる方法に

あれこれ頭をひねった末に

新NISAを作り出したのではないか

私は、岸田総理があまり好きではないこともある

「新NISA 政府の陰謀論」を唱えている

ただ、岸田総理が好きではないので

政府がやれ、と勧めたことは極力避ける、という

方向性で来たおかげで

今回の暴落でも、傷を負わずに済んでいる


以上、長々と書いてきたが

私の結論は

「老後資金を新NISAにするのは止めた方がいい」だ

ただ、あくまでもこれは私個人の結論なので

どうぞ、ご判断はご自身で、よく考えて

それからになさっていただきたいと思う

それにしても

あれだけ投資をあおっておいて

暴落したら、「投資は自己責任」では

あんまりではないか、とは思う

2000円を超える大暴落

せめて、上手な軟着陸をして欲しいと思っている







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