今日は、テクテクと
徒歩30分のところにある、セブンイレブンまで
出かけてきた
往復で一時間
ウォーキングにしても、少し遠い距離ではある
それを、わざわざ行ってきたのは
なんとしても、セブンイレブンまで行く用事があった
具体的には、予約していたチケットの発券が
セブンイレブンでしかできなかったからだ
予約していたチケットは
ウクライナ国立バレエ団の「ジゼル」
公演は、明日の昼過ぎだ
なんとしても、今日行かなくてはいけなかった
ウクライナの公演、と聞くと
音楽でも、バレエでも、
なんとしても、見に行かなくては、という気になる
これは、一つにはささやかな支援を
したいこともあるのだが
それよりも、ウクライナのバレエのレベルが
頭一つ飛びぬけていて
ズシンと心に響いてくるから、というのも
非常に大きい
……バレエは、ロシアのボリショイバレエが
世界一だ、などと、さえずるような
半可通もいないではないが
ボリショイに限らず、ロシアのバレエは
元気いっぱいに飛び回る代わりに
音のとり方があまく
露骨に言えば、音とはずれた技術ショーを
やっているように、私には見える
私に言わせれば、あれならフィギュアスケートや
新体操で充分だと思う
おまけに、この頃では、そのご自慢の技術も
日本のKバレエカンパニーの方が
どう見ても、上に違いない……
ウクライナ国立バレエ団の芸術監督は
京都出身の日本人、ということもあり
日本での公演には、積極的だ
日本からの義援金も、多く寄せられ
その資金を使って、フランスバレエの名作
「ジゼル」に新演出をつけたのが
今回の演目だ
この作品は、身分違いの恋と
その結果、貴族の男に騙されるような形になった
村娘ジゼルが、嘆きの余り死んでしまう
その後、ウイリーという一種の
化け物グループのルーキーとして転生し
夜、一人でいる男を祟り殺すようになるが
たまたま、ジゼルの死を悼んで
墓参りをしていた、貴族の恋人が
祟り殺されそうになると
裏切ったはずの男を、化け物仲間から守り切り
朝の鐘とともに、永遠の別れを告げる、という
いいのか悪いのか、よくわからないストーリーなのだが
今回は、このストーリーの特にラストを変えている、という
細かい伏線もあり、
人間の魂は、死にすら打ち勝つ、というのが
テーマになっている、とのこと
期待度マックスでチケットを予約した
おまけに、今回ジゼルを踊るのが
アリョーナ・コジョカルだというので
私は、飛び上がって喜んでいた
この、コジョカルとウクライナ国立バレエ団は
かなりの確執があった
コジョカルは、昔
このバレエ団のプリマ、
つまり、どんな演目をやろうと
必ず主役になるという地位にいたのだが
「このバレエ団は
伝統重視といえば、聞こえはいいけれど
毎回毎回、同じことばかりで進歩がない」と
タンカを切って、バレエ団を飛び出した
飛び出したはいいが、再就職するバレエ団は決まっておらず
イギリスにあるバレエ団に
なんと、コールドで入団した
……コールドというのは、「その他大勢」のことである
白鳥の湖でいえば、白鳥ズや、
宮廷の舞踏会の場面で、バックで踊る
名もない貴婦人役、などである……
もちろん、ウクライナ国立バレエのプリマの実力なので
すぐに、イギリスのバレエ団でもプリマに昇格したが……
数10年ぶりの、コジョカルとウクライナ国立バレエの
共演である
おまけに、コジョカルの踊る、というよりも
演じる「ジゼル」は
知的で、奥ゆかしくて、清潔で、可憐で
「守ってあげたい」けなげ系女子の典型で
なんとも、眼福なのだ
新年早々、縁起がいい、と思っていたら
公演を主催している、香蘭社から
メールが来ていた
コジョカルが、けがで出演することができません
そう、書かれていた
ついでに
これによるチケットの払い戻しは致しません、と
無情な言葉が続いていた
コジョカル以上のジゼルはいない
チケット代は払ってしまったから
見にはいくか、と、しょんぼりしながら
念のため、代役は?と
あまり興味なく、メールの続きを読んだところ
「代役は菅井円加(ハンブルグバレエ・プリンシパル)
飛び上がった
菅井円加サンといえば、日本を代表する
というよりは、今では世界を代表するバレリーナだ
数年前、ローザンヌ国際コンクールで
優勝されたのを、覚えている方も多いと思う
回転やジャンプは、男性顔負けのレベル
それでいて、踊りというよりも、演じている
という感じで
見ていて、セリフが聞こえてきそうなほど
表現力があり、情感が豊かだ
情念を躍らせたら、右に出るものはない
ハンブルグ・バレエ団で
トップバレリーナとして君臨している日本人女性だ
コジョカルは大好きなバレリーナだが
菅井円加サンは、日本公演のチケットを
取ろうとしても、かなり難しいバレリーナだ
良く、1日限りの代役に立ってくれたものだと思う
この偶然を大切に
心を込めて、一心に
舞台を鑑賞させていただこうと思う
随分と誉め言葉を並べたが
論より証拠
菅井円加サンの踊りがどれほど素晴らしいか
You Tube の動画を貼っておくので
興味のある方は、ぜひご覧いただきたい
特に
6分8秒あたりからのジャンプと回転
6分41秒あたりからの回転が
表現する言葉が見当たらないほど、素晴らしい
強いて言うとすれば「眼福」しかないだろう