今日、職場の昼休みになったとたん
私の同僚が、いきなり私の席に飛んできて
「聞いてくださいよ、もう、腹が立って腹が立って」
と、いきなり、まくしたて始めた
これは、かなり怒っている
まあ、本人が「腹が立って」と言っているのもあるが
この同僚は、穏やか、というよりも
ちょっと、何を考えているのか
腹の底の見えないタイプだ
それもあってのことなのか
なんと、定年後は政治家を目指していて
今は、立憲政治塾に入って
日本経済から、後援会の作り方まで
ゼロから勉強しているところだ、と笑っていた
ついでに言えば
私が、ファイナンシャルプランナーの1級に受かった時
一番喜んでくれたのが、この同僚だった
私の息子以上の喜びぶりで
ただ、言ったセリフが
どうか、僕のプレーンになってください
一緒にビラ巻きしましょう、だったのは
今でも、少々、引っかかってはいるのだが
……政治家に乞われてブレーンになって
する仕事が、ビラ巻きというのは
やはり、どうしても複雑だったりするのだ……
ただ、半世紀以上も生きてくると
ある程度、人をなだめるのもうまくなる
机の引き出しに置いてある
とっておきのほうじ茶のティーバックで
丁寧にお茶を入れ、空き会議室を借り
手製の弁当片手に
何があったのかを聞いてみた
この同僚がこれほど怒るのなら
個人的なことではあるまい
何か、プライベートを超えて、ちょっと大きなことに決まっている
……そのあたり、まじめな人物なのだ
なので、立憲民主党、と聞いた時に
なるほど、と深く納得した
あの党も、どこか、生真面目で
いささか、野暮なところがある
とはいえ、私に言わせれば
その、野暮ったくて不器用な誠実さが
あの党らしくて、好ましいとも思うのだが……
同僚が怒っていた理由は、私が内心
想像していたとおりだった
「デヴィ夫人の、12平和党って、
あんまりにも、人を馬鹿にしていると思いませんか!!」
一昨日くらいのことだったか
タレントのデヴィ夫人が
国政政党を立ち上げる、と記者会見をした
政党名は12平和党
12、はなんと、「ワン・ニャン」と読むのだそうだ
政策は、動物愛護一本
犬・猫の食用化に反対
動物虐待の重罪化
多党飼育崩壊の防止、だそうだ
人を馬鹿にしている、と言われれば
間違いなく、馬鹿にしているだろう
だが、私には
これは単なる、相続税対策にしか見えなかった
派手に政治団体を立ち上げれば
派手さで目くらましができて
裏の目的である、相続税の節税が
多少なりともかき消される、ということだろう
少なくとも、私にはそう見えた
それに、そもそもこの方は
確かに、日本生まれの日本育ちではあるが
インドネシアの、スカルノ元大統領の
第三夫人で
現在は、インドネシア人のはずだ
もう一度、帰化して日本人に戻っているのならともかく
自分の意志で日本国籍を捨てた外国人が
外国人のままで
日本の政治をどうこうするために
日本に政党を作る、というのも
私個人としては、どこか、引っかかるのも事実だ
同僚は、こんなふざけた話があるか
まじめに国のあり方を考えている政治家が
たくさんいるのに、と怒り心頭
しかも、必ず何人かは
当選するだろうから、ますます悔しい、と怒っている
まあ、確かに
「動物」「平和」と名がついて
テレびに出ている、有名な人の政党なら
投票しよう、という
私には、ちょっと理解できない
思考回路の人も、ある程度はいるとは思う
だが
デヴィ夫人が言うように
5人や10人当選させるほど
日本の国民はバカぞろいではなかろうと思う
というのも
今、米の値段は昨年の秋と比べて
2倍を超えている
野菜は高騰し、高級品と化している
それでいて
高額療養費の上限はアップし
ガンをはじめとする、長期の難病の患者は
費用が払えないから
治療をあきらめざるを得なくなる
そんな法改正をしようとしている
エックスでは、元明石市長の泉サンが
食品の消費税を廃止しようという運動を始め
多数の政党に呼びかけ
どうやら、社民党と共産党が
動き出すような気配がある
それこそ、同僚の「推し」である
立憲民主党の動きが
大きなキャスティングボードになる可能性のある
このような大切な時期に
猫の避妊手術が、政策として
広く支持されるとは、さすがに思えない
それに、デヴィ夫人自体が
いわゆる「タマが悪い」というやつだ
この人は
現在の天皇陛下が、皇太子だった時に
「皇太子浩宮を廃位させる署名」を始めて
秋篠宮を皇太子にさせようとした人だ
皇室に詳しい人のほとんどが
今でもこれを、許せません、と激怒している
それに、デヴィ夫人は
人権意識が低く
性被害者に対して、セカンドレイプを繰り返している
ジャニーズの被害者たちに向かって
「恩をあだで返すとはこのこと」と言い放ち
芸能界で売ってもらったのだから
レイプくらいされてもいいだろう、という趣旨のことを
平気で公言しているし
TOKIOの山口達也が、女子高校生に
無理矢理キスをして、強制わいせつ罪で
謹慎処分になった時も
「キスくらいで騒ぎすぎた」と
被害者女性を踏みつけにする発言をしている
これでは、政治家として
反発はされても、支持はされないだろう
それに何より
「動物愛護」の精神など
まず、くちから出まかせ、というところだろう
というのは
去年のことだったと思うが
3000万円だか、4000万円だかの
セーブルの毛皮のコートをテレビで自慢し
そのコートに、傷をつけただの、つけられただのと
大騒ぎをしていたからだ
動物愛護の精神をお持ちの方が
動物の死体を使ったコートを
平気で、これ見よがしに着るはずがない
イギリスでは、毛皮動物の飼育も法で禁じられ
有名百貨店、ハロッズでは
毛皮の商品の扱いを中止している
本当に動物愛護を考えるなら
そうなるのが、当然だろう
もっと言えば
少なくとも、猫に関しては
デヴィ夫人が何か保護活動をしていたとは
一度も聞いたことがない
なので
実際に、必死で保護猫活動をしている
友人たちを、間近で見ていた私としては
かなり口が悪いのは自覚してはいるのだが
「汚い手で保護猫活動に触るな」と
言いたくなってくるのだ
とはいえ
動物虐待のニュースは
ここ数日
聞きたくもないのに、耳に入ってくることは
確かに、事実だ
重罪化を願う点は、私も同じだ
だが
それなら、既存の政党に請願をしてみたり
署名活動をしてみたり
ほかの方法は、いくらでもある
と、このような
かなり、消化に悪そうな話をしながら
二人で顔を突き合わせて
弁当と、ほうじ茶を平らげ
最後の結論として、私が
「政治をおもちゃにするのも」
といったところで
「いい加減にしろよ」と
これは、二人で思わず同時に言った
ハモリましたね、と
少しばかり笑った後で
やっぱり、政治思想が合いますね
くれぐれもブレーンを、お願いしますよ、と
念を押されてしまった
いや、私はそこまで政治にどっぷり
ひたるつもりはないのだが
これは、逃げられなくなるかもしれない、という
悪い予感も、ちょっぴりし始めている
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