2024年11月27日水曜日

昼休みのおしゃべり会・国に一番にやってほしいこと

 私の職場は

役職定年者が多いこともあり

なんとなく、和気あいあい、春風駘蕩、という

のんびりとしたところがあり

昼休みの終わる10分ほど前には

皆、自分の座席に集合して

思い思いに、好きなお茶を飲みつつ

罪のない話題に、花を咲かせていることが多い


高校のころ、古文で「枕草紙」を読んだとき

虫尽くしだの、花尽くしだの

どの虫が好きか、どの花が良いか、

つらつらと書き綴られているものがあり

当時の私は、この文章の

一体何が面白いのだろうと、本気で首をひねっていたが

午後の仕事の前の

お茶時間を楽しむようになってから

なんとなく

清少納言の職場も、こんな感じだったのではないか、と

勝手な想像をすることが多くなった


で、私の職場の今日の「お題」は

「政治家に、最初にしてほしいこと」だった

そもそもは、立憲民主の野田サンが

一番最初にすることは、紙の保険証を続けていくこと

といったこと

初めて聞いたときは、

なんて小さなことを、と思ったが

実際、マイナ保健所への切り替えが

目前だったから

あのタイミングでなければ、

とめられなかったんだな、と

誰かが言ったことがきっかけだった


こういう話題は、一気に場が活気づく

全員のテンションがマックスに上がるので

午後の仕事の前に

きっちりと、ギアが入るのも良いところだ


やはり、物価の話が一番に出てきた

シャンプーや、歯ブラシのような日用品に始まり

今は、米の値段が上がっている

生協で買っていたという同僚は

値段がきっちり1.5倍になったと嘆いていた

節約で何とかするにしても、限度がある

政治になんとかしてもらわなくては、という

意見が真っ先にあがり

全員からの共感を呼んだ


私の世代では

もっと、シニア層を大事にしてほしい、という

声も上がった

確かに、これは私も思う

シルバー政治、と言われるが

私としては、シニア世代に手厚い政策など

一つでもあっただろうか

具体的には、何も思いつかない


だが、これを言った同僚の話は

もっと切実だった

同僚は、少し遠いところに自宅を構えていて

片道2時間近くかけて出社してくるのだが

その同僚の家に近くには

生鮮食料品を買える店がないのだそうだ

半径500メートルに、スーパーも、コンビニも、商店街も

一切、何もない

で、現在は、休日に

奥方と二人で、車を出して

大型ショッピングモールに入っているスーパーに行き

一週間分、買いだめをするのだそうだが


心配しているのは、免許の返納だ

危なくなるのも、わかっている

子供には、一拍だけブレーキのタイミングが

遅くなったと言われている

けれど

免許を返納してしまったら

食料品を買いに行かれない

免許を返納しろというなら

クルマに代わる、高齢者用の乗り物を

安く、簡単に手に入るように

行政の補助をしてほしい

……これは、どこかで聞いたことがある

  かなりうろ覚えで申し訳ないのだが

  確か、岡山あたりのどこかの市が

  ゴルフ場のカートのような、シニア向けのエコカーを

  貸し出す制度か何かを、始めたのだそうだ

  最高時速も、歩行者にぶつかっても深刻なけがをさせない程度に

  控えてあるので

  シニアの方も、安心して運転できる、という

  なかなか便利そうな、電気自動車だったのだが

  これが広まらないのは、どうしたことだろう、と

  少し不思議に思っていたところだった……


「一択。病児保育」といったのは

幼稚園児の子供を持つ、同僚だ

子供さんが熱を出すたびに

保育所から呼び出されて、お迎えに行く姿も

実に、お気の毒だと思うのだが

その分、急に仕事が増えて

残業せざるを得なくなる、同じ部署の人たちも

お気の毒だと思ってしまう

確かに、病児保育の制度さえあれば

全部は、一度にかたがつくだろう


そのほかにも

給食費無料化、塾代補助、奨学金免除

同一労働・同一賃金、手取り増加

農業振興、愛子天皇、選挙デマ防止

ワイワイガヤガヤと、いろいろ出たが


私に、話題がふられた

こうなると、何か少し面白いことを言って

座を盛り上げたくなるのが

普段からの、悪い癖たせ

それで、ちょっと変わったことを言ってみた


新しい産業を作り出すこと


私は、今の社会の状況は

いわば「貧すれば鈍する」を

地で言っているのではないかと思っている

自分の、先行きの見えない不安を

高齢者にぶつけてみたり

ネットリンチにかけてみたり

社会全体に、ゆとりや潤いが

無くなっている気がするのだ

と、なると

一打逆転、何か新しい産業を

政府の肝いりで作り出し

クルマなら日本、トランジスタラジオなら日本、と

言われたように

トップブランド国に返り咲いてはどうだろう、といった


では、どこの分野で、と言われそうだが

私は、シニア産業ではないかと思っている

これは、世界のどこでも

本腰を入れてやっている国はないが

高齢化は、世界的な問題で

世界にいる、高齢の富裕層中には

雑音を拾わない、高性能で軽い補聴器があれば

金などいくら出しても構わない、という人は

少なくはないだろう


日本の介護用品は

世界的にも評価が高い

むしろ、知らぬは日本ばかりなり、というところだ

これを、大々的に広告しない手はないではないか


歯の弱くなった高齢者のソフト食や

飲み込む力の少なくなった人にも

食べる楽しみを、という試みは

小規模ではあるか、いくつかの企業が

すでにチャレンジしており

しかも、かなり高品質だ

アルコールの飲めなくなった高齢者にも

ノンアルコールピールで作ったゼリーを出して

「ちょっと一杯気分」を楽しんでもらえるサービスもある


こうしたテクニックや、ノウハウを、売る

手本は、ハヅキルーペの事業展開でどうだろうか

いわば

日本のシニアが、シニア文化を作り

それを、海外に輸出するわけである


ほかにも

例えば、自宅の薬箱にセットすれば

薬の飲み忘れがあるときには

しゃべって知らせてくれる機械や

血圧、脈拍などをはかって

問題のある時には

病院に行くことを促してくれる

お助けロボットなど

AIを使って、開発してほしいもの

開発してくれたら、私なら必ず買うものなどは

たくさんある


ぜひとも、この方面で国力アップを、と

言いかけたところで、始業のベルが鳴った


さて、とパソコンに向かいかけたところで

立件民主党の政治塾に入っているという

同僚から、ぼそっと

「夏の参院選、立候補するんですか?」と聞かれた

いや、しませんって

しても、落ちますって


だが、シニア文化国富論は

少し、本気で考えている

少なくとも、薬飲み忘れチェックおしゃべり機は

どなたか、作っていただけないだろうか

最低限、私の分の一台だけは

売り上げを保証させていただくが、どうだろうか







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