2024年10月14日月曜日

年寄りは尊厳死させろと主張する政治家がいる恐怖

 せっかくのブログなので

いつも、気持ちの温かくなるようなことを

書くようにしたい

あとから読んで

「生きているのは、楽しいな」と思えるような

文章を残したい、と思っているのだが


今日という今日は、完全にブチ切れた

国民民主党の玉木代表の

「社会保険料を下げるために

 高齢者の尊厳死を法制化する」

発言だ

あんまりにもトンデモなので

デマだと思われるのもいやなので

ソースを貼っておく

党首討論の、1:41:49秒あたりからの

玉木代表の発言だ

これは、どう見ても単なる言い間違いだの

クチが滑った、だのというレベルを

超えているように見える

間違いなく、確信犯だろう

https://www.youtube.com/live/6Nzad4UvEuI?si=IOjIUL17AQfFi-47


そもそも、安楽死や尊厳死、という言葉を

完全に間違って使っている

安楽死とはどんなものかすら

わかっていないだろうと思う


安楽死を一番、正確に描写したのは

手塚治虫の「ブラック・ジャック」で登場する

安楽死専門医、ドクター・キリコだろうと思う

このドクター・キリコは作品中で何度も

安楽死と自殺とは違う、と主張する

ブラックジャックは良く、自殺志願者を

ドクター・キリコのところに連れて行くのだが

……これは、完全に安楽死を理解したうえでの

  ブラックジャックの、ドクター・キリコに対する

  単なるいやがらせである、念のため……

そのたびに、ドクター・キリコは

俺がやっているのは安楽死だ

自殺の手伝いなんかできるか、と

激怒している


ドクター・キリコが主張するのは

病気やけがの苦痛が耐えがたく

死期が切迫していると明白な場合に限り

苦しみから逃れるために

完全に自分の意志で死を選ぶ場合

手法も、資格のある医師の手で

苦痛を与えないように行う

この条件がそろって初めて、安楽死と認められる

ドクター・キリコも、ここではじめて

「仕事」を請け負う


ドクター・キリコが安楽死を扱うようになった

設定も非常に優れている

ドクター・キリコはベトナム戦争に軍医として送られ

戦場で、決して助からない

それでいて、なかなか死ぬことができず

重症のけがの痛みに苦しまなければいけない

そうした兵士たちから

楽にしてほしい、と頼まれ続けた

これが、きっかけ、という設定だ


さすが、医師でもあった手塚治虫の代表作だ

安楽死とはどういうもので

どういう必要性があると考えられているのか

単なる自殺とはどう違うのか

正確に、わかりやすく、まとめているうえに

ストーリー性も、非常に巧みだ


それが、不勉強な政治家にかかると

「死期の切迫」という大事な条件を

完全に見ないふりをして

死ぬときに苦痛がないのが安楽死、と

単純すぎる判断をしているようだ


「尊厳死」となると

これに、さらに条件が付け加わる

治療不可能な病気にかかっている、という

条件までは同じだが

患者が意識を回復する見込みがなくなった場合

延命治療を中止する

つまり

積極的に、薬などを投与して

死を招くわけではない

ただ単に、自分の意思を表示できない患者に対して

生命維持装置を止める、という話だ


もちろん、尊厳死も患者の意思が必要だ

そのために

「自分の意識がなくなり

 機械につながなくては、心臓も動かず

 呼吸もできない状況になったら

 機械を止めて、自然に任せてほしい」という

リビング・ウィル

別の言い方をすれば、エンディングノートに

一言書いておいた方が、絶対に良い、ということになる


だが、書いていないときでも

今の病院は、非常に緻密で

高齢者が命に係わる病気で入院するときには

入院前のアンケートとして

どのような終末医療を望んでいるか

本人が意識がない場合は

付き添ってきた家族が記入するように

制度が整っているので

望まない延命措置をされる可能性は

かなり低い

なので

尊厳死自体も、以前と比べて

あまり問題にならなくなってきてはいる


ここで、話をもとに戻すが

玉木代表の発言

終末医療を施さない、というのは

尊厳死とは、全くもって、別の話だ

しかも、目的は、社会保険料を下げるため

つまり、金のためだ

一番大事な、患者自身の意思、という点を

まるまる、無視している

治療をすると、金がかかる

金を使いたくないから

治療をせずに、早く死んでもらおう、とは

何という歪んだ発想だろうと思う

自分の親にも、そう言えるものかどうか

まず、玉木代表が自分で経験してから

いってもらいたいものだと

私個人としては、思っている


それに、終末医療は

何も、高齢者にだけするような措置ではない

例えば、小児がんの患者や

年齢を問わず、事故によるけが人もいる

心臓発作などは、50代くらいから起きている

こうした患者すべてに対して

「金がかかって、社会保険料が高くなるから」と

ほったらかして、死ぬのを待とう、とは

ディストピア小説のあらすじではないのかと

本気で疑いたくなってくる


おまけに、この党の候補者がXで

「子供に迷惑をかけないために

 尊厳死を選ぼうとおもわないのか」と

ますます、ディストピアな擁護をしていた


いや、だから

尊厳死とは、そういうものではない

この候補者の主張は

私には、「子供に迷惑をかける」と脅して

自殺強要をしているようにしか見えないのだ


もっと言えば

日本は、同調圧力の国だ

建前は、志願者だけだったはずの特攻隊も

全員が、七生報告の

熱烈志願者だけではなかったことは

よく知られている通りだ

もし、「尊厳死法制」などが通ったら

「あの人、病気が治らないのにまだ生きてる」

「この人は、もっと早く尊厳死を使ったのに」などと

考えたくもない同調圧力が加わるのは

誰の目にも明らかだろうと思うが、いかがだろうか


そもそも、高齢者は国民健康保険料も

介護保険料も、きっちりと収めている

保険料を踏み倒しているのならともかく

政府から言われた額をきっちりと払っていて

その対価であるサービスを受けようとすると

子どもに迷惑だ、とイチャモンをつけるのなら

そもそも、保険料を取るべきではないだろう


例えば、これが民間だとして

レストランに入り、メニューを見て、納得し

料理を注文したら

「これ、金がかかるんだよね」と

横柄に対応されて

料理は出してもらえなかった

それでいて、料金だけは銀行から

強引に引き落とされた


こんなことが起きたら、間違いなく炎上騒ぎ

責任者は、謝罪会見で平謝りだろう

健康保険だから、国がやっているから

そんなことで、責任逃れのできるような

レベルの話ではあるまい


それに、「この保険料で、このサービス」と決めたのは

政治家たちではないか

健康保険が赤字だというのなら

赤字にならない手法を考え出せ、と

官僚組織に命じるのが、行政府の長である

政府の仕事のはずだ

つまり、すべては議員と政党が無能だったせい

政治のミスではないか

それを、高齢者に

しかも、命で払え、などと

完全に筋が違うだろう


しかも

役に立たない高齢者は、終末医療を受けずに

早く死んでくれ、と言い出したら

次に来るのは

高齢者以上に役に立たない、重度の障碍者も

医療措置の必要はない、と言いかねない

その次は、

重い病気などで、労働能力をなくした

生活保護受給者の

医療措置をとめるのだろうか

それでも足りなければ

生産性がないと、杉田議員に絡まれた

LGBTや、不妊症の女性、無精子症の男性

結婚していない一人暮らしの男女に

死ねというのだろうか


死ね死ね団ではあるまいし


子どものために死になさい、が

まだ、通るのは

楢山節考の、人が普通に飢え死にするくらいの

極端な貧困の村の場合だけだろう

しかも

この村でも、姥捨てに対する

同調圧力があった


今の日本は、飢饉で餓死者が出るわけではない

むしろ

最高の税収を記録しているではないか

この税収を使って

きちんと配分を行うのが

一番最初にすべきことだろう

少なくとも、姥捨て山の真似事をする以前に

超富裕層への税率アップを考えてはどうかと

思うのだが、いかがだろうか





0 件のコメント:

コメントを投稿