私の家は、元をただせば
将軍直参の旗本で、石高も1000石を
超えていたらしい
大げさすぎて、気恥ずかしいのだが
菩提寺は、芝の増上寺
歴代の徳川将軍と同じ寺なのだ
三代続いてお江戸に住めば
押しも押されもせぬ、江戸っ子、だそうだが
それで言えば、私なぞは
江戸の竹林あたりに住む、古狸か何か
というところなのだろう
何が言いたいか、というと
こういうわけなので
江戸っ子の特徴、と言われる
気の短さ、切れ味の良いタンカ、やせ我慢
カッコつけ、という特徴は
私もきっちり、あてはまる、ということで
実は、今日もすっかりこれで
大失敗をやらかしてきたところなのだ
もとをただせば、総務の新人女子と
指導係と思しき、ベテランさんが
もめていた、というよりも
新人女子が、一方的に叱られていたのを
耳にしてしまったことから始まる
私の職場では、月に500円の福利厚生費の徴収があり
簡単な茶菓子と、マリームのようなコーヒーミルク
スティックシュガーなどは、その費用から
共有のものを買うことになっている
お買い物係は、一番若手の総務課員、と
決まっているのだが
これが、どうやらミスをしたらしい、というのが
わかったのが
給湯室に、私がコーヒーを入れに行った時だった
私のコーヒーは、ペーパードリップ式で
蒸らすのにも、抽出するのにも時間がかかる
間が悪いことに、考え事をしていたために
給湯コーナーで、新人さんが叱られていたところに
気づかず、ずかずかと入って行ってしまった
といっても、入りかけて
途中で気が付き、あっ、と思い
引き返そうとはした
が、もう遅かった
ベテランさんから、いきなり声をかけられた
「すみません、亀田製菓の不買運動って、ご存じです?」
そりゃあ、知っている
というか、何度もXでトレンドワード入りしているし
株価も下がり続けているようだし
スーパーでもよく、安売りをしているのに
あまり売れ行きはよくなさそうだし
知らない人の方が、少ないのではないか、と
言い終わる前に
「ほら、ごらんなさい」と
ベテランさんの叱責が飛んだ
よくよく話を聞いてみると
この新人さんは、お正月だし、というので
茶菓子に、せんべい、あられを買ってきたのだそうだ
スーパーで安くなっていた品物を
これならたっぷり買い込める、と
おトクにホクホク買ってきたのが
全部、「亀田製菓」のものだった
で、ベテランさんに、不見識だ、
と叱られていたわけである
これだけ、不買運動が広がっていれば
このフロアーの中に、一人や二人
かかわっている人もいるかもしれない
それを、わざわざ、亀田製菓
しかもこんなに大量に
買い込んで来るのは、気働きが足りない、と
叱られたところ
新人さんが
でも、そんなに広まってはいないと思います
現に、私は初耳です、と反論し
そこに、たまたま、のこのとやってきた
いかにも、Xには縁遠そうなシニア
……私のことである、念のため……
この人に聞いてみましょう
ということになったらしい
ベテランさんのいうのは
確かに、少し細かい気はする
だが
この人の、こういう気づかい
心配りの繊細さのおかげで
業務の運営が
いつも滞りなく進んでいることも
確かなのである
そして
総務歴の長いこの方は
「周りの方に気持ちよく働いていただくのが
総務の仕事」というのが口癖で
私は、この口癖が、とても好きだったりもするのだ
かといって
私は、生来、気が弱いせいもあり
人の争うのを見るのが、あまり好きではない
叱られるのを見るのも、叱られた後で
しょんぼりしている人を見るのも、好きではない
で
最初の話につながるわけだ
よせばいいのに、勝手に口が動いた
両方の顔を立てて、落としどころを作ればいい
多少は、やせ我慢をはって
ちょっとばかり、格好よく決める、となると
ベストの方法は、これではないか、と
こんな時に限って、働く頭脳が
自分でも腹立たしかったりするが
そのせんべい、全部譲ってくれないか
領収書の金額は、私が払う
みんなの茶菓子にする分は
お手数だが、また今日の帰りにでも
買いに行ってもらえないだろうか、と
二人には、すっかり恐縮され
いやいや、今は耳痛いかもしれないが
こういう考え方ができるのと
できないのでは
将来が大きく変わってきたりするから
ライフルの角度が一度変わるだけでも
200メートル先の標的に当たる位置が
相当変わってくるのと同じように、などと
ハードボイルドな、説教を決めてみたり
だが、帰りの荷物は、鞄に入りきれず
季節外れのサンタのような大袋を
持ち歩くことになつたうえに
財布は、悲しく軽くなり
手袋の新調は、あっさりあきらめた
まったく、どうしてこう
後先考えずに、口が動くのだろうと
帰りの道すがら、ずっと反省していたのだが
そもそも
私は、亀田製菓の不買運動は
起きるべくして起きたもので
なかなか根深く
会社の方針が改まり、CEOを交代するまで
収まらないのではないかと思っている
というのは、その理由が
亀田製菓は、新潟で
米菓子を作っている会社なのに
使っている米は、国産米ではなく中国米
作っている工場も、中国のチンタオ
日本の新潟にある会社は
単なる輸入業者になっている、という事実
……といっても、全部の製品ではない
日本の工場で作っている製品も
アメリカ米と国産米をミックスで使っている製品も
あることはあるのだが……
これが非常に、ショックだった
米どころ新潟で作っているせんべいだから
国産米を使ってると思っていたのに、という
反発から起きた運動だからだ
おそらく、メインは主婦層なのではないかと思う
この層が反発すると、怖い
中国の工場での
毒餃子事件を忘れていない世代が
こぞって、代替メーカーを利用し始めたら
ちょっとやそっとでは、戻ってくるまい
亀田製菓のCEOが、
日本はもっと移民を受け入れるべきだ、と
ちょっと真意がわからない
政治発言をしたのも、まずかったと思う
なぜ、菓子と全く関係のない
移民の話など始めたのか
おまけに、移民は川口市の問題など
治安の点で、まだ未解決の案件が多く
私を含む、多くの庶民が
不安を抱えている政策だ
これは、消費者がカチンと来ても、仕方があるまい
それにしても、この大量の
亀田製菓製品
一人で全部食べたら、
間違いなく糖質過多になりそうだ
半分くらいは、来週末の、町内会の新年会に差し入れ
半分くらいは、自分で食べようと思っている
それにしても
やっぱり
中国米、中国工場のせんべいは、あんまりだろう
思うのだが、いかがだろうか
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