第2話までで完璧にはまり
今年の楽しみの一つに昇格したのが
大河ドラマ「べらぼう」
第3話は、吉原の遊女を花に見立てた
今でいう、クラウドファンドによる会場限定本を作り
見事、吉原に客を呼び戻すことができた、というところまで
主人公・重三郎は
生まれて初めて、本を作るという
「生きがい」を感じることができ
自分の人生を歩み始める、というのが
大まかなあらすじだが
このドラマは、綿密な伏線の貼り方
江戸中期の着物の粋など
見どころは実にたくさんあるが
それぞれのキャラクター、特に、シニア男性の
魅力が大爆発している
しかも、まるでゲストのように
各回ごとに、一番見事な人が変わっていくという
豪華ぶりだ
そこで、一つ
今回はは、それぞれのキャラクターに学ぶ
魅力的なシニア、について書いてみたくなった
まず、一番基本的なスタンス
これは、主人公、蔦屋重三郎の人物評
幼馴染の花魁、花の井のセリフからいただいた
「どの子も可愛や
誰にも惚れぬ」
……いわば、若い世代という
アイドルグループの
マネージャーのような役回り
誰のことも大事にするけれども
妙な下心は感じさせない、さわやかさ
これは、第一条件だろう……
次に、第一話の田沼意次から学ぶポイント
主人公、重三郎は
老中、田沼意次に、吉原以外の宿場や岡場所で
色を打っているのはけしからん
吉原はきちんと税金を納めているのだから
それ以外の場所は取り締まってくれ、と頼む
田沼意次は、経済活性化という国益の点から
重三の頼みをすっぱりと断るのだが
逆に重三に、吉原に人を呼ぶための工夫は
何かしているのか、と問いかける
これで、パッと目が覚めた重三は
ありがた山の寒ガラス、とばかりに礼をいい
吉原のガイドブックづくりを始める
この田沼意次から学ぶポイントは
・若手の話は最後まで聞く
・イエスノーは、はっきりという
・人格否定は、絶対にしない
・逃げ場のないところまで論破しない
・ノーのときには
若手がエネルギーを向ける方向を示す
……これは、モデルが田沼意次だけに
魅力的なシニア、というよりも
魅力的な上司の条件
という感じもする……
第二話は、平賀源内の登場である
吉原のガイドブックの序文を書いてもらうために
源内に頼み込む重三だが
源内は有名な男色家で
ほかの色街にはない、吉原だけの魅力が
わからないと、いい文章は書けない、という
困り果てる重三だったが
幼馴染の花魁、花の井の機転で
役者姿に男装した花の井花魁が
自分の舞姿を通して
源内が今は亡き、恋人を思い出し、懐かしむ
今でいう「胸キュン」な幻想を見せることで
吉原文化の底力を見せ
見事、源内に序を書いてもらう、という筋立てだった
源内から学ぶポイントは
・自分の責任ではないことで
コンプレックスを持たない
・人を愛するときには、一途に、誠実に
・愛情表現に、テレない
……平賀源内が、重三に
「俺、男一筋よ」という
今でいう、カミングアウトの軽さが、実によかった
持つ必要のないコンプレックスは、持たない
それが、軽やかな生き方や
自己肯定感につながっているのが、よく伝わってきた
そして何より、第二話で最も魅力的だったのは
花の井花魁の踊る姿に重ねて映し出される
今は亡き恋人が
源内の家で、踊りの稽古をしており
源内が、嬉しそうにそれを眺めているシーン
暖かく、切なく、今まで見たラブシーンの中でも
特に美しい、極上の仕上がりだと思った
恋心を持つなら
一途に、まっすぐに
そして、言葉にしなくても、相手にきちんと伝えること
これのできるシニアは、はたから見ても
魅力的だろうと思う
第三話で、今でいう、遊女の写真帳のような本を
ただし、遊女を花に見立てた
粋な作りで出版にこぎつけた重三だったが
孤児だった重三を拾い、育て、働かせてくれている
育ての親、駿河屋の主人はなぜか激怒し
殴られた挙句、家を追い出されてしまう
それを仲介してくれたのが
同じ、女郎屋仲間の扇屋
女郎屋は
「人として大切な八つの徳を忘れた
外道、人でなし」
という意味で
自嘲的に、自分たちを「忘八」と呼んでいる
実は、自分の女郎屋を重三に継がせたくて
その愛情から、本づくりに熱中する
重三を厳しく叱っていたことに気づくと
扇屋は、その愛情はゆがんでいる、と
実に、見事な説得をする
この、やや上目遣いの目線も見事だ
悪くて、粋で、なんとも色っぽい
第三回は、かなりドラマチックな回だったが
ネットでは、MVPとして
この扇屋を推す声が多かったのも
なるほど、と思わせる
扇屋に学ぶポイントは
・シニアに必要なのは
覚悟と信念、そして、自信
……人間、半世紀以上生きていれば
完全にクリーンであることは難しい
だが、それを
なんとなく流されてやったのか
自分なりの、信念があったのか
「クリーンではない」という状況を
引き受ける覚悟を持っていたのかでは
自分に対する、自信のほどが全然違ってくる
そして
その信念と、覚悟と、自信からにじみ出てくる
なんとも言えない、影のようなものが
独特の色っぽさ、カッコよさに
つながっているのではないかと、思うのだ……
すでに、これ誰魅力的なキャラクターが
登場している「べらぼう」だが
まだ、大物というべき
写楽や、滝沢馬琴が登場していない
この二人に関しては、配役の発表も
まだされていないようだ
ますます目が離せなくなりそうな「べらぼう」を
毎週、ワクワクしながら待とうと思っている
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