2025年1月30日木曜日

森永卓郎さん、さようなら

 昨日、経済アナリストの

森永卓郎さんが亡くなった

ステージ4の肝臓がんであることを

カミングアウトし

医師には、「今年の桜は見られないでしょう」と

宣告されたことも、発表しながらも

なくなるわずか、5時間前まで

ラジオの仕事をなさっていた

ご自身の言葉通り

「フルスイング」の果ての、ご逝去だった


個人的には、存じているわけではない

ラジオも、熱心に聞いていたわけではない

だが

私がファイナンシャルプランナーになりたいと思った

そもそものきっかけの一つは

森永先生の存在だった


この方の名前と顔が一致したのは

今から40年ほど前になるだろうか

図書館で見かけた

「年収300万じだいがやってくる」という

ご著書だった

ブタの貯金箱を抱えて

少し硬めの笑顔の男性の写真が

ドンと、表紙に乗っていた

それが、森永先生だった


その場で借りて、家に帰るのも、もどかしくて

電車の中ですぐに読み始めた

実に、わかりやすく、面白く、論理的で、内容が深い

現代の格差社会をほぼ確実に予言してもいた

当時から、「ネトウヨ」のような人たちはいて

その陣営からは

日本がそんなに貧しくなるわけはないじゃないか、と

さんざん、わらわれてはいたのだが

愚かだったのはどちらか

今になってみれば、完全に明らかだ


ついでに言えば、私が現在

定年後になっても、何とかやっていける程度の

経済的な基盤を整えられたのは

あの本で進められていた家計管理を

コツコツ続けてきたからでもあると思う

個人的にも、森永先生と

「定年後」を書かれた楠本先生は

私の経済生活の指針を作ってくれた

恩人のように感じている


森永先生は「推し」というと、少し違う

この方の、多くの情報量と

その情報を整理し、隠されていた本質をつかみ取る

知性の鋭さに、舌をまいた

それでいて、言葉はわかりやすく

すんなり頭に入ってくる

親しみやすく、どこか

近所の物知りなおじさん、という雰囲気も醸し出していた

私もああなりたい、とは思うが

その距離はあまり遠い、あこがれの人、に近い感覚だったと思う


晩年の著作

「言ってはいけない」

「ザイム真理教」

「投資依存症」

この辺りは、出版されるとすぐに買いに行った

「投資依存症」で

株式投資などについての危険性

日本の株は今はバブル状態であるのに

投資をどんどんあおっている

と危険性を訴えておられたが

これは、私も実感がある


実は、私がファイナンシャルブランナー1級に

合格してから

いくつか、解説記事を書いてくれないかという

お誘いをいただいた

それが

Nisa の一般論について解説してほしい、というときの

原稿料と

Nisaはおトクですから、どんどんやりましょう、と

すすめる記事を書いてほしい、というときの

原稿料は、相当違う、というよりも

すすめる記事の方の原稿料は

5倍以上なのだ

……もっとも、記事の依頼者が

  その種の投資会社だから

  予算が多く取れる、というのも

  あるかもしれないが……

私は、職場が副業厳禁なので、お断りをせざるを得なかったが

確かに、これでは

投資をあおる記事ばかりが

あふれかえるのもわかる気がする


ご著書もそうだが

竹中平蔵氏の経済対策に対する批判も

実に、適格だった

荒っぽい言葉など一言も使っていないのに

「政商」

「つぶす必要のない会社をかたっぱしからつぶした」

「失業した人が出たところで

 人材派遣会社、パソナを作った」

「これで、巨万の富を築いた」という指摘に

さしもの竹中平蔵氏も

タジタジになっているのがよくわかる

動画を下に貼っておこうと思う


vt.tiktok.com/ZS6xgYhJd/


優れた人ほど、死神に愛される、という言い方が

フランス語にはあるのだと聞いたことがある

67歳、フルスイングの御生涯は

余りに早かったように思う


ご冥福をお祈りいたします



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