のんびりと連休を楽しんだ後で
いよいよ今日から仕事はじめ
昼休み終了前の
雑談タイムも、久しぶりで
泣くとなく、心ときめきがしてくる
という、雅な1日のはずだったのに
いきなり、聞かれたのが
「シニアに恋って必要だと思います?」
まさか、この「恋」だとは思わず
鯉よりもフナの方が美味い
特に、琵琶湖の鮒ずしは
ブルーチーズが好きな人なら
ドハマりすると思う、と間抜けな答えを
返してしまったのは
何も、私の責任ではなかろう
あんまりな質問を、あまりにもストレートに
されてしまったので
どういう趣旨か、と聞いてみたところ
なんと、この同僚の70歳を過ぎる御父上が
新年の目標に
「今年は、恋がしたい」と
のたもうたのだそうだ
この同僚の過程では、家庭のしきたりのようなもので
毎年、「今年やりたいこと」を
家族の間で、発表しあうのだそうだ
ちなみに、奥様はいらっしゃる
さすがに、奥様が席を立った時に
そっと言ったのだそうだ
いや、国家試験の受験ではあるまいし
恋などというものは
しようと思わなくても、自然にしてしまうもの
といとうよりも
いつのまにやら、恋に落ちているものではないか
人によっては、恋に狂ってしまうものかもしれないが
そもそもどうして、と聞いたところ
どうやら、今はやりの精神科医
和田先生の著書を読んだ影響らしい
和田先生は、老いてこそ、恋をすることで
男性ホルモンの分泌を盛んにして
若々しく、生き生きと暮らしていくべき、と
書いているのだが
実は、私は和田先生の著書には
「異議あり」と叫びたくなることが多い
総論賛成、各論反対なのだ
この、男性ホルモンの話もそうだ
確かに、男性ホルモンに限らず
ホルモンの分泌は大切だろう、
その点は、「総論賛成」だ
だが、だからと言って
後先考えずに、シニアに恋愛をすすめるなど
正直、噴飯もの、というか
へそが茶を沸かす、といとうか
あの、正気ですか、と聞きたくなる、というか
「国際ロマンス詐欺」という言葉をご存じですか、と
思わず、尋ねてみたくなるのだ
国際ロマンス詐欺師に、壮大なカモの群れを
提供することになりかねない話だと思う
それに、私の世代なら
加山雄三の父親、二枚目俳優でならした上原謙が
40近く年下の女性と結婚した挙句
俗にいう「ケツの毛までむしり取られる」ような
目にあったことも、覚えておいでだろうし
チリ人女性アニータに入れ込んだ挙句
犯罪までした公務員のことも
「紀州のドンファン」と若い妻の間の
大騒ぎも
知らない人は、いないだろう
安易に恋愛などすすめては
老後のための虎の子貯金やら
場合によっては、命まで危なくなるのが
シニア層ではないか
そもそも、結婚している男性が
いきなり、よその女にうつつを抜かし始めたら
奥方は、どう思うか
正直、「この男の介護はできない」
「新しい女に世話してもらいなさいよ」で
あっさり離婚、少なくとも別居して
奥方は、奥方なりの
「不快な相手から離れて
自由を謳歌するシニアライフ」を
追及するのではないだろうか
というのも、私の息子の知人のご両親が
80を過ぎてから、離婚された、という話を聞いたからだ
その理由は
夫が遺産相続の、相続人として
なんとかいう、アイドルグループの女の子を
指名したからだ、という
奥方と子供たちには、自分の生命保険を
分け合ってくれればいい
残りは、自分が稼いだ金だから
最後くらい、自分が好きなように使う
一番大好きなアイドルの何とかチャンに挙げれば
そこそこの額だ、葬式くらいには来てくれるかもしれない
ひょっとしたら、そこで一曲
歌ってくれるかもしれない、といったところ
奥方は、怒るよりも
こんなバカの子供を産んで
こんなバカに50年以上、ご飯を作ってきたのかと思うと
情けなくてたまらない、といい
子供たちも全員、母親に味方して
スピード離婚が成立したのだそうだ
それにそもそも
男女を問わず、20歳が、70歳に惚れるだろうか
自分が20の時を考えれば
結論は明らかだろうと思うのだが
自分は違う、自分は人並外れて魅力的だから、と
思っているとしたら、もう、手の施しようがなかろう
シニアになれば
年輪ともいうべき、経験によって磨かれた
知恵や、人間性の深み、人格の魅力
そういったもので、尊敬されることを
目指す方が、少なくとも、
成功率の高い生き方だと思う
例えば
ハリー・ポッターの、ダンブルドア校長や
ラマンチャの男の、ドン・キホーテ
落語でいえば、大旦那様
バレエでいえば
くるみ割り人形の、王子ではなく
ドロッセルマイヤー
コッペリアなら、フランツではなく
コッペリウス
と話すと
だんだん、例がわかりにくくなってきたけれど
ダンブルドアはわかる、と言われた
なので、少し調子に乗って
それに、シニアともなってくれば
生身の女性以上に
絵の中の女性や、埴輪のような人形や
バレエや、小説の中の女性をめでる
ゆとり、のようなものが
あってもいいのではないかと思う、と言ったら
これを聞いていた、新入社員の若い男の子に
大賛成です
二次元っていいですよね
ひょっとして、コミケとかも
行ってたりします?と
聞かれた
いや、確かに私の世代でも
シャアのポスターをお嫁にもっていった
女子もいたし
地方から東京に出てきた男子は必ず
「僕の管理人さんを探すんだ」と言っていたものだが
私はその、西行法師と待賢門院とか
画家、ギュスターヴ・モローの描いた妖精に恋をした
詩人、アンドレ・ブルトンとか
そちらの話を考えていたのだが
ただ、若いころ
コミケに通い詰めたのも、事実だった李する
新年早々、なんだか複雑な気分ではある
ちなみに、下に貼ってあるのが
モローの描いた妖精
確かに、もし毎日美術館に通うことができ
一日中、ずっと絵を見て過ごす
自由な時間があれば
私も、恋に落ちたかもしれないほど
魅力的だと思うのだが
いかがだろうか
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