2025年1月1日水曜日

正月用菓子・コレクション

 お読みいただいている皆様

謹賀新年

本年もよろしくお願いいたします


初日の出を見ようと思っていたはずなのに

目が覚めたのは、すでに八時過ぎ

しかも、愛猫の「ご飯くれ」のニャニャニャという

叫び声でたたき起こされるという

あまりうれしくない、初目覚めとなったが


ともあれ、角餅に澄まし汁

だしは、鶏肉では少し淡泊なので

豚コマを使って

小松菜と、かまぼこ

それに、少しばかりユズの皮を入れて

得意料理の雑煮を作り

昨日、重箱に詰めたばかりの、おせちを

少しずつ、全種類いただくと

かなり、ずっしりと腹にたまってくる


そのためか

12時になっても、あまり空腹にもならず

何か、軽く済ませようと思って、思いついた

まずは、果物、ミカンと、リンゴを四分の一

丁寧に入れた緑茶

そして、三が日用に買い込んだ、和菓子を一つ

そして、夕食を早めにすればいい


買い込んだ和菓子は、合計四個

左から、豆大福、今年の干支菓子(蛇である)

節分草(花)、そして、一番手前にある

大ぶりの、半円型の餅菓子が、「花びら餅」である







さて、どれからいくか

やはり、花びら餅だろう


子の花びら餅は、ぜひとも食べたかった

というのも

実は、昨年NHKでやっていた

ドラマ「大奥」で印象的に取り上げられており

その時に、強く印象に残っていたからだ


昨年は、大家ドラマが実に不作、というよりも

信じがたいほどに、下らない駄作で

三回も持たずに、見るのをやめてしまった

特に、美術・演出・時代考証は

集団でストでもしているとしか

思えない無茶苦茶ぶりだった

……これは、一つには主演があまりに

  大根だったこともあったそうだ

  なんと、時代劇の

  立つ、座る、という所作ができなかったため

  主演に合わせて、脇役も全員

  主君の周りを、家臣が棒立ちになつたまま

  ぺらぺらとしゃべり続ける、という

  絶対にありえない演技をせざるを得なくなったのだそうだ……


まるで、無残な大河ドラマの代わりのように

突如、登場したのが「大奥」だった

これは、同名のコミックの実写化で

簡単に内容をまとめると

男子のみがかかる奇病のせいで

男性の人口が極端に減ってしまい

女性が将軍・老中など

政治の中心につき

男性は、大奥に入り

将軍の子孫を残すことを

主な仕事にするようになった、という

男女逆転物のストーリーだ

これを、三代将軍家光から始まって

大政奉還、江戸城明け渡し

文明開化の世の、津田梅子の登場まで

続いていく、という

実に、壮大なドラマだった

一部では、「大奥が本物の大河」

とまで、言われていた作品だ


これが、見事だった

大奥の男たちが着飾って居並び

将軍が相手を指名する

「お鈴廊下」の美術の見事さ

脚本は、原作を読みこんだうえで

原作以上のアレンジを加えてくる

おまけに

「名演技の殴り合い」としか言いようのないほど

役者サンたちが、素晴らしかった


男女逆転しているので

もちろん、ジェンダーの問題もある

なかなか子供のできない

五代将軍・綱吉に対するプレッシャーと

その苦悩は、実にリアルで

雅子皇后の若い時に

宮内庁や、一部の自称「愛国者」が

かけ続けた、プレッシャーとハラスメントを

強く思い起こさせたほどだった


……この「大奥」が

  今日と明日、一挙放送される

  再放送だが、まだご覧になっていない方には

  ぜひとも、おすすめしたい

  名場面はたくさんあるが

  一つ選べと言われれば、私は平賀源内の

  発病から死に至るまでと

  その死を嘆く、同僚の慟哭のシーンをあげる

  ただ、時間帯が遅い

  始まるのが、午前二時くらいからだ

  二時に終わるのなら、リアルタイムで

  見たかもしれないが

  二時にスタート、朝の五時終了では

  ビデオで見るしか、仕方がないだろう……


その中で、花びら餅が出てくるのは

第14代将軍、徳川家茂と

京都から嫁いできた、和宮のエピソードだ

家茂は女性なので

公武合体のために嫁いでくる、和宮は

男性でなければならないはずだが

実際に嫁いできた和宮は、女性だった

それは、和宮に付き添ってきた母親が

和宮(男性)を溺愛するあまり

徳川に嫁ぐのは嫌だ、とグズる和宮(男性)を

秘密のうちに、出家させ

その姉を極秘のうちに、男装させ、和宮だと名乗らせて

送り込んできたためだった

この「和宮の替え玉」は

障害を持って生まれてきたため、親に愛されず

かなり屈折した性格になっていた

……和宮に障害があったというのは、史実だ

  替え玉説も、かなり昔からささやかれている

  その証拠として

  最初、和宮は「おすそが悪い」

  つまり、足がうまく動かない、言われていたのに

  実際に江戸についた和宮は、手に障害があった

  そして、和宮の嫁入り行列を描いた、当時の絵では

  嫁入り行列が、「狐の嫁入り」の姿で描かれているからだ……


この「大奥」の優れたところは

歴代の将軍が

性別こそは違うものの

性格は、史実に基づいて、正確に描かれていることだ

家光は、エキセントリックで不安定

吉宗は、豪快だが無神経で粗野

そして、家茂は、まるで、ゆで卵のような

つるんとしていて、どこにもひっかかりのない

申し分のない善人だ


将軍家を下に見て、心を開かない和宮一行に

家茂は、食べることが好きだろう、と見当をつけ

そこを突破口にしようとする

家茂が、カステラを持ってくると

……この辺、少し記憶があやふやだ

  間違っていたら、申し訳ない……

和宮は、ツンデレぶりを発揮して

こんな黄色、気色が悪い

都では、菓子といえば、花びら餅、と話す

 (だが、もらったカステラは食べる

  念のため)

花びら餅を知らない家茂に

ごんぼ(ゴボウのことである、念のため)を甘く炊いて

ぎゅうひで包んで、と説明しかけると

家茂が、ごんぼを甘く炊いて?と

目を輝かせる

漫画なら「じゅるり」と擬音が付きそうな勢いに

和宮が

「あんた、甘いもんは好きか」ときき

家茂が

「はい、とても」と答える


これが、二人の間の

友情、というには、あまりに親密な

「シスターフッド」とでもいうべき、絆の始まりだった


それ以来、「花びら餅」には

強い、あこがれを抱いている

もともと、宮中で食べていた菓子が

京都の「下々のもの」にも広まり

宮中に倣って、食べるようになったものなのだそうだ

ゴボウは、若鮎にみたてた縁起物

薄く伸ばした、円形の餅に

柏餅の味噌あんに使うような

同じく、円形に伸ばした、ピンク色の牛肥をのせ

さらに、その上に

柏餅の味噌案に使うような

甘い、白あんを乗せ

最後に、中央にゴボウを乗せて

ゴボウのところで、半分に折りたたむ


素朴なようでいて、シンプルな分だけ

ごまかしがきかない菓子だと思う

私の近所の和菓子屋にはおいておらず

電車で15分のショッピングモールに

入っている和菓子屋まで、年末に買いに行ってきた


今日はこれから

飛び切り、美味しい緑茶を入れて

花びら餅と

ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートを聴きながら

新年を祝おうと

とても楽しみにしている


ニューイヤーコンサートの

ワルツやポルカを聞いて

学友協会ホールの、金色の装飾と

ふんだんに飾られた花飾りを眺め

「ラデツキー行進曲」に手拍子を打たなくては

年が明けない

今年からは

これに「花びら餅を食べないと」という条件が

一つ、加わりそうな気がする


くどいようだが

今晩と、明日の晩の「大奥」

おすすめだ

まだ見ていない方は

騙されたと思って

どの話でもよいので、一話だけでも

ご覧になることをお勧めしたい

後悔は、しないと思う



0 件のコメント:

コメントを投稿