2024年6月1日土曜日

ドラマ「老害の人」と上皇后様

 以前から楽しみにしていたドラマ

NHKBSで、日曜日の夜10時放送の

「老害の人」

予想通り、とても面白い

脚本は内館牧子

実は、私はこの方の作品の大ファンでもある

どれを見ても、ハズレはまずない


ドラマ「老害の人」のあらすじは以下の通り

見ている方は、とばして読んでほしい


主人公福太郎は80歳過ぎ

ボードゲームの会社を

一代で作り上げた、成功者なのだが

会社は娘婿に譲り、引退……したはずが

若い世代だけでは心もとない、というのを口実に

毎日、会社にいりびたっている

「経営戦略室長」という肩書を新しく作らせ

物置になっていた部屋を開けさせ、自室としている

そして、ある日契約に来た新興の急成長中の企業を怒らせ

契約の話をぶち壊してしまう

怒った娘に、思い出話も自慢話も

仲間内だけでやってくれ、と怒鳴られ

しばらく考えたあげく

自分以外の、社会の厄介者扱いされている高齢者たちにも

居場所になれるところを作ろう、と

名かもと一緒に

経営戦略室だった部屋をDIYで改装して

「若鮎サロン」を開く


ここまでで、大体二回分のあらすじだ

話は、家庭内のゴタゴタや、すったもんだの数々

クレーマーと化していたシニア夫人の再生や

生きる意欲を失って引きこもっていた旧友の

立ち直り大作戦など

次第に大きなうねりになっていく


主演は、伊東四朗

元クレーマーのシニア女性に三田佳子

ベテラン勢は、さすがに上手で

本当にその役の人物が実在して、

思っていることを勝手にしゃべっているように見える


福太郎の友人にシニア層には

病気自慢や、二言目には死にたい、死にたいと繰り返す

困ったちゃんもいるものの

ドラマを見ている限りでは

こうした人たちは「老害」とは思わなかった

「老害」と非難を受けるのは

単に、ちょっとうっとおしいというだけではなく

……この程度の人なら

  若い人でもたくさんいる

  20代女性向けの「ママ友」でひどい目にあった、という

  実話をもとにしたマンガなどをみると

  年代を問わず、やらかす人はやらかしているのだと

  しみじみ思うことがある


  クレーマーやカスハラも

  シニアが行えば「老害の典型」と言われるが

  若い人でも、やる人はやっている

  20代の若者数人が

  コンビニの店員に土下座をさせた動画を

  アップさせて、騒動になったのも

  ほんの数年前のことだ

  シニア特有のものではなく

  その人の個人的な性質によるものだろう……


私が、これは間違いなく

シニア特有のもの、「老害」だと思うのは

自分の老いを認めず、現役世代に目に見える形で害を与えたとき

たいていが、辞めたはずの職場に出向いたり

自分の代わりに、自分が元いた地位についた人に

うっとおしいアドバイス

……しかも、これがいつまでも終わらない

  延々としたもので

  半分以上自慢話が混じっていたりする……

をしてみたり、というケース

つまり

自分が地位と力を失ったのだと認められず

指導という名目で

代替わりして、力と地位を持つようになった

若い世代に絡むような

マネをしている時だと思う


自分には、老害行為をしている、という自覚はないのが

通常のようだ

だが、悪意は無いとはいえ

これは、セクハラやDV、ストーカーでも

同じことだと思う

DVの加害者には、DVの自覚はなく

ほとんどが「しつけ」だと言うらしい

セクハラも「イヤよイヤよも好きのうち」という

トンデモナイ言葉の陰に隠されてきた

ストーカーは、言うまでもない

悪意がないから許される、という理屈は

全く通じないのだ


「老害の人」になりたくない、どうすればいか

私の考えた結論は、以下の通りだ


一番手っ取り早い方法は

「辞めたら終わり」にすることだと思う

これを、例外なく、デジタルに

潔く、スッパリと行う


会社を定年退職したら、二度と会社にはいかない

会社に勤めている現役世代には会わない

役職を離れたら

役職者とは、あいさつ以外のことは話さない

冷たい、と言われるかもしれないが

今は、これだけメールが発達している時代だ

用事があれば、向こうからメールを

すぐに送ってよこすだろう

それがない、ということは

つまり、そういうことなのだ、と

まあ、一抹の寂しさはあるにせよ

ぐっとかみしめて、知らん顔をしているのが

年輪というものではないか、と思う


と、ここまで書いてきて

どうにも気になるのが、上皇后様の話だ

今日のネットの新潮ニュースによると

なにやら皇位継承だか、皇族数の増加だかについて

「重いお言葉」を発されているらしい

先日は、国会の議長を呼びつけたそうだ


シニア層の端くれとして

もう、おやめなさい、といいたくなる

そもそも、皇族が政治にくちばしを突っ込むのは

憲法違反でもあるが

それほど大上段に構えなくても

若い者のやっていることに、引退したものが脇から

やれ、スピードをあげろ、だの

内容をもっと精査しろ、だの

危機意識が足りない、だのと、文句を言うのは

あまり好かれる話ではない

少なくとも、私の職場で

元エースが、これをやらかして

「老害」呼ばわりをされている

実を言うと、彼のセリフと上皇后様のセリフが

ほとんど同じなのだ


子供も50を過ぎ、孫も成人し

それぞれが、いい大人だ

言いたいことがいろいろあるのは分かるが

若い世代に「任せる」度量の広さをみせるのが

正しい「高齢者道」ではないだろうか


もちろん、何もするなというわけではない

目標を持って、いきいき生きるのは

良いことだろうと思う

だが、その目標は

仕事を引退したら、以前とは違ったもの

少なくとも、以前の仕事とは関係のないものに

すべきだと思うのだ


例えば

せっかく、夫婦ともお元気なのだから

この先は、少しだけ体力を使うボランティア活動

例えば

子ども食堂に手伝いに行ったり

日本語を母語としない子供のための

翻訳活動をしたり、と

今まで全くしてこなかった、

また、「天皇」「皇后」という地位では

先例が無かったり、政治的過ぎたりして

できなかったような活動

それでいて、社会のためになり、国民に寄り添うお気持ちの見える

シニア層から見て、右も左も無く、誰もが

こんな風に、年をとりたいな、と思わせるような

そんな活動に

取り組まれてはどうかと思う


もう一つ

現役世代が、引退世代に会いに来たり

アドバイスを求めて来たりするのは

実際に助けが欲しい、というよりも

引退した身を気遣い、顔を立てようとしているだけのことが多い

昔馴染みだからといって、その気になって

あまり、政治家の訪問を受けたり

宮内庁長官をスポークスマンに使ったりすると

……宮内庁は天皇世代のものだ

  上皇ご夫妻には、上皇職の役人がついている

  宮内庁長官ではなく、上皇職の担当者に

  お願いするのが、組織としてもスジというものだろう……

陰で、老害、と言われていても

文句は言えないだろうと思うのだが

いかがだろうか


それにしても

ドラマ「老害の人」は単なる娯楽作品として見ても

とても面白い

まだ見ていない、という人がいたら

もったいないので、ぜひ今からでも

ご参加をおススメしたい







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