2024年12月3日火曜日

そろそろ借りに行きたい、クリスマスのDVD 「すばらしき哉 人生」

 12月に入り

クリスマスが近くなり

一年の締めくくり、という時期になると

毎年、必ず恒例で見ているDVDがある


かなり古いアメリカ映画なので

テレビで放送してくれるとしても

NHKのBSの映画タイムくらいだ

なにしろ、白黒映画なのだ

だが、ちょっと言うのは恥ずかしいのだが

私は、この映画に何度

励ましてもらったか、数え切れれない


映画のタイトルは

「素晴らしき哉、人生」

ただ、注意していただきたいのは

非常にややこしいことに

同じタイトルで、3つ

完全に違う作品があることだ


一つ目は、テレビドラマ

日本のテレビドラマで、佐藤浩市と浅野温子が出ている

學校の先生の話だが

私が見たいのは、これではない


二つ目は、アメリカ映画

ウィル・スミス主演の

妻を亡くして、がっくりときて

何もできなくなった主人公のもとに

三人の不思議な人物が現れる、という

なかなか、悪くはない作品だが

私が見たいのは、これでもない


三つめは、古いアメリカ映画で

くどいようだが、白黒映画である

DVDのケースを見て、映画の写真に色がついていなかったら

まず、間違いなくそれだ

それが、私の12月の儀式になっている作品だ


この映画のあらすじを

とても簡単に紹介すると

正義感の強く、お人よしの主人公が

金の亡者のような、ライバルと戦って

街の人々を守る、という

いかにも、アメリカらしいヒーロー物語なのだが


ファーストシーンで、夜空が写る

町中の人々が、主人公のことを心配している声が

夜空に広がっていく

すると、夜空の向こう、星のかなたから

二人の話し声がする

1人は、上級天使で、もう一人は見習い天使らしい

見習い天使は、羽がないらしい、というのが

この会話から、推測できる

そして

上級天使は、見習い天使に

この主人公を救いなさい、うまくいけば、羽をあげる、と

約束する

そして、主人公がどんな人か説明する、という形で

主人公の子供のころからの生い立ちをたどっていく、という

かなり、凝った構成になっている


主人公は、子供のころ

みんなで川でスケートをしていて

氷が割れて、川に落ちた弟を救ったときに

病気になり、高熱の結果、片耳が聞こえなくなる

なので

弟は、戦争で手柄をたてて

すっかり、町の英雄になつているけれども

主人公は、町を出ることにあこがれは持っているものの

生まれ故郷で、ずっと暮らしていく羽目になる


ドラッグストアを営む叔父のもとで

ささやかなバイトをし

叔父の処方箋のミスを見つけてあげたり

幼馴染の女の子と恋に落ち

結婚するまでの、ほほえましいエピソードの後で

主人公は、町の人々に、優良住宅を安く販売するようになり

不動産で一儲けをたくらむ、ライバルと対立するようになる


悪いことに、主人公が

税金用に、振り込んでくれと渡した現金を

お使いを頼まれた叔父が、置き忘れ

それに気づいたライバルがネコババしたために

主人公は、税金を払わなければ

脱税で、牢屋に行くことになる


この絶望的な状況が

なんと、クリスマスイブに起きる

街が明るく、楽し気なほど

主人公の疎外感は深くなる


それで、事態を把握した

見習い天使が、主人公のもとに派遣されるのだが


この二人の出会い方が、また、見事だ

これは、さすがにネタバレせずに、伏せておこうと思う


主人公は、絶望のあまり

見習い天使に言う

「生まれてこなければよかった」

見習い天使は、OK

願いをかなえてあげるよ、とばかりに

主人公が「生まれてこなかった世界」を作り出す


これが、映画の終了20分前くらいのところだ

実は、この映画が一番面白くなるのは

ここから、ラストまでだ

前半あたりは、単なる壮大な前振り、と言ってもいいくらいだ


この「自分が生まれてこなかった世界」にいる

自分、というのは

どうみても、悪夢の中だ

母親は、自分を知らないという

街は、ライバルの名前の付いた土地になっていて

通りを歩く人々の服装は、ずっと粗末で

みな、いら立っているように見える

母親に、異常者扱いされた主人公は

せめて、叔父のところに行こうとすると

叔父は、処方箋のミスで、人を死なせてしまい

今は、過失致死罪のような罪名で、牢屋に入っている

素敵な女性だった奥さんは

誰も結婚相手がいないので

クリスマスの晩も、一人ボッチになっている

しかも、この時代の「オールドミス」は

現在とは比べ物にならないほど、立場が悪く

嘲笑の種にまでされている

では、せめて、町の英雄である弟に会いたい、というと

天使が連れて行くのは、墓地だ

墓碑銘を見ると、死んだ年齢は子供のころ

川に落ちて、誰からも助けてもらえずに、溺死していた


主人公は、そこで

自分が生きてきた意味に気づく

自分がやっていた、忘れているような小さなことが

ほかの人の支えになっていたこと

自分というピースがなくなれば

ジグソーパズルは完成しない、ということ


主人公は、現在の世界に戻らせてもらう

数時間後には、牢屋行きが確定していても

それでも、この世界は素晴らしいと

幸福感いっぱいで、家に戻ってくる


さて、その後だが

古いアメリカ映画である

当然、ハッピーエンドになる

牢屋にはいかずに済むし

見習い天使も、羽をもらえる

このきっかけになるのが

主人公の小さな娘の行動なのだが

これは、ネタバレせずにおこうと思う

実に、泣かせる

……文字通りの意味で、だ

  私は、この子の登場シーンから

  もう、目頭が熱くなる……


この、クリスマスの奇跡のラストシーンまで

実は、泣きっぱなしになることが、よくある

毎年、この時期には必ず見ているというのに、である


「癒し系」という言葉がはやっているようだが

この映画は、究極の癒しのようなもので

あなたも、必要な人なのですよ

あなたがいなければ、世界は確実に

小さく、不幸になつたのですよ、と

静かに、語り掛けてくる


関西の落語家の、桂南光師匠が

一番好きな映画に挙げていたが

確かに、南光師匠好みの映画でもある


そして

私の大好きな、三谷幸喜サンが

ご自身の脚本、監督した映画の中で

この「素晴らしき哉、人生」という映画について

何度か触れていた

この映画が好きなキャラクターがいる

一見、こわもてで、心が冷たそうな、このキャラクターが

実は、どんな性格であるかを

一番上手に説明するために

「素晴らしき哉 人生」が好き、という設定にしてあるのだ


まだ見たことがない、という方

ぜひとも、おすすめだ

特に、ラスト20分は、絶対に早送りなどせずに

じっくりと、楽しんでほしい


絶対に、損はない……と思う





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