2024年2月22日木曜日

★憧れられるシニアになる~自分改造計画~(② 下半身人間は卒業すべし)

 昼休みにネットニュースを見ていたら

よその大学の女子大生とホテルに入ったとかで

マスコミで名高い大学教授が

勤務先の大学から、戒告処分を受けた、と

わりに大きめに報じられていた

この人も、64歳、シニア層のお仲間のようだ


確かに私は以前、シニア層がアツい

モテを目指してみませんか、と書いた

だが

こんなことを勧めたわけでは、断じてない

私に言わせれば、こんなのは『モテ』と言うより「エロ」

私はいい年をして、下半身人間ですよ、と

世間に丸出ししているようなもので

特に、奥さん、子供、孫までいるような立場なら

みっともない、とか、見苦しい、という言葉が

先に立ってしまう

(もっと言えば、特に奥さんがいるなら

 今後、万一のことがあったときに

 奥さんに一緒に生きてもらえるのかどうか

 その時に、

 「貴方が好きにしたんだから、私も好きにします」

 「若い女の子に頼んだら」とでも

 言われる危険性も、考えておく方がいいと思う)


私の考える「シニアのモテ」は、これとは全く違う

男女に限らず、魅力というのは

年代によって変わっていくものだと思う

そして、私の考えるシニアの魅力は

何と言っても「成熟」


私が、ちょっと目指したいな、と思っている

理想の「イケてるシニア」は

実をいうと、オペラ(正確には「楽劇」)の登場人物だ

「ニュルンベルグのマイスタージンガー」という

長いタイトルの作品に登場する、靴屋の親方

ハンス・ザックスというキャラクターだ


まともに聞けば、五時間近くかかる作品だが

そのあらすじを極端に短く、かいつまんでまとめると


街のアイドルのようなヒロインがいて

若い騎士と相思相愛になる

ヒロインの父は、街の歌合戦で

優勝した人と娘を結婚させるというが

当時のしきたりで

歌にはいろいろと細かい規則があり

歌を学ぶには、庶民が子供のころから

歌を良く知っている街の職人の親方の弟子になり

修行をしながら、少しずつ身につけるもの

身分の高すぎる騎士は弟子修行などしたことがないので

歌の規則が全く分からない上に

ヒロインに夢中で優勝を狙うゲス男までいる

(ここまでは、ちょっと吉本新喜劇によくある

 筋立てに似ていなくはない)


この絶対絶命の時に、ヒロインが頼ってくるのが

ハンス・ザックス

このキャラは現在の平均年齢で考えると

現役バリバリのようだが

作曲された19世紀で言えばシニア層に属する

この頼りになるイケてるシニアのハンス・ザックスも

実は、ヒロインに惚れているのだが

自分の分を心得て、恋心を諦め

ヒロインの幸せを願って、恋を応援

騎士のコーチのような役にまわり、ゲス男もブロック

ついに、歌合戦に優勝させる


優勝した騎士に

街の庶民がお祝いがてら「親方」の称号を贈ろうとすると

騎士はいらないと拒否

(若者らしく、自分の成功を自分の力だと過信して

 ちょっといい気になっている)

その思い違いをきちんと正し

心根を入れ替えさせるのも、ハンス・ザックス


最後は、街と街の文化、そしてなにより

ハンス・ザックスをたたえる

ワーグナーらしい、壮大な大合唱で幕となる


ハンス・ザックスの恋は実らない

どんなにたたえられても、失恋したことは間違いない

ここまでだと、ちょっと

映画「カサブランカ」で

ハンフリー・ボガードのやった役に似ているが


だが、一番の違いは

人間の厚み、ともいうべきところだ

「カサブランカ」では、自分の恋に手いっぱいなのに対し

ハンス・ザックスには

若い者が恋愛の相談を持ち込めるような

(その相手が、自分がほんのりとと思っていた女性だというのは

 いささか酷とはいえ)

フトコロのふかさと、暖かさがある

それを何とかできるような、人生経験もある

何より、自分の失恋のほろ苦さを

まるで、ブラックコーヒーの、のど越しを確かめるように

どこか、楽しんで味わっているところがある

一言で言えば、洒脱なのだ


シニアの『モテ方』はこうでありたいと思う

それに、たいていの下半身人間は

たとえ水面下ではあっても

どこからか、必ず眉を顰められているものだ

(時々、男性シニアの在宅介護の女性ヘルパーさんへの 

 セクハラまであると聞く

 ここまでくると、無残、というか、老醜、というか)

四捨五入すれば一世紀になるほど

生きてきたら、そんなみっともない生き方からは

そろそろ卒業しても良いのではないか、と思う


成熟を武器に、大切な人を思い切り大事にし

それ以上の尊敬と友情を受け取る

これが、シニアの理想の『モテ』のように思うのだが

いかがだろうか


貼り付けてあるのは

ニュルンベルグのマイスタージンガー全曲

(ハンス・ザックスをたたえる

 幕切れの合唱は最後の2分くらい)

ワーグナー :ニュルンベルグのマイスタージンガー - YouTube




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